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PERFECT DAYSのぴのネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

きっと大半が思う。
『トイレ掃除の仕事なんてしたくない・・・』と。
毎日楽しいのか?生きていて楽しいのか?
きっと友達がこの仕事をしていたら言ってしまうかもしれない。

淡々と同じようなことの繰り返しだと思われるだろう。『刺激ほしくない?』『同じような毎日でいいの?』そんな言葉が聞こえてきそうだ。

だが、毎日同じではなかった。
同じように見えて同じではない。
淡々と毎日を過ごしているようにみえて、大きくはないがほんの些細な出来事で、人は驚き、喜び、怒り、楽しみ、照れ、不安になり、がっかりし、涙する。
感情をあまり見せない主人公でさえ、いろんな表情が映し出されていた。

誰もが嫌がる仕事をできる人が居るから、成り立っている。
本当に心から尊敬する。


やはり役所広司さんは素晴らしい。
セリフなんてほぼ無いのに、姪っ子を親元に引き渡すシーンで、主人公の過去が想像出来るのだから。


よく分からなかったのは、姪っ子が公衆トイレで動画を撮っていたシーン。
あのとき入って行った女子高生に意味を感じるが、その意味がわからない・・・
あと一人暮らしなのに姪っ子が何故レンタル自転車ではない自転車を乗っている?

冒頭の公衆トイレの近くに酔ったお兄さんが寝ていたり、(しかもそのあとフラフラのままトイレに入ったり)、セリフが無い分生活音や動作音が心地良かったり。。。
車の中でかけているカセットテープの音楽が劇中での音から劇中のBGMのようにも聴こえてくる。そしてそれがまた劇中の音としてぶちっと切れるのが良くて笑ってしまう。

普段一人で毎日銭湯にきているのに、ある日姪っ子を連れてきたときの、顔馴染みのお客のリアクションがとても面白くそれだけで何を言いたいのかとてもわかる。笑

あとびっくりしたのはラストの音楽をかけて運転しているシーンを役所広司さんのアップで結構長く映していたところ。
ただ、運転しているだけでなく、少し嬉しくなったり、悲しくなったり、悲しさを抑えて無理に笑おうとしたり、その映し出された時間分色んな感情が少しずつ変化して垣間みる。
なぜその感情が生まれるのか?
それは観てる人間が決めるのかなと思った。
もしかしたらかけた音楽に思入れがあり、昔の感情が蘇ったのかもしれない。
私はそう感じた。
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