きらきら武士

ポトフ 美食家と料理人のきらきら武士のレビュー・感想・評価

ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)
3.9
思ったより厨房中心の映画だったが冒頭の調理シーンから引き込まれた。見応えあり。ましてや、19世紀末のフランス。ガスも電気も無いから調理は基本人力。炭火のオーブンはじめ、巨大な銅の鍋とか大量生産以前の調理器具ももの珍しく、うわーこれ、ずっと観てられるわーと喜んだ。さすがにあの手早さは映像編集の賜物だが、ジュリエット・ビノシュのコツコツとリズミカルな靴音も心地良く、凝った料理が続々と出来上がっていく工程を観るのは楽しかった。
勿論出来上がった料理も見るからに美味しそうだ。嗚呼、美食万歳!
食べたことないから味は想像がつかんけど。
あと、日本も負けてないからな!という謎の対抗心も少し湧いた。和食こそ至高なり。知らんけど。

厨房内のシーンが多かったが、鳥の鳴き声などの自然音がふんだんに取り入れられていて、農村地帯なのか、周囲が良い食材の産地という設定なのかなと思わせた。
BGMは多分使っていなかったと思う。調理と食事、会話、自然の音のみ。19世紀末の雰囲気をリアルに再現する意図だろう。
夜の室内映像も蝋燭やランプの灯りのみの雰囲気を再現。いや、すごく綺麗。好みなんですけど。

ところで映画中、しょっちゅう食べに来てる美食倶楽部風のオイさん達がいたが、仕事はどうしてるのか。暇人なのか、パトロンなのか。その両方なのか。何にしてもあの料理を食べることかできるのはひたすら羨ましい。

しかし、どんなに美味しい料理も食べたら無くなる。楽しい食事会も必ず終わる。出会いがあれば別れがある。永遠に続く美食なんてものは無いのだよ、と思わせた。それでも映画の終わりは希望を残す形で締めていた。後味良し。年始に観るのに良い作品だった。重過ぎずくど過ぎず。

煮込みスープ作りたくなった。
正月明けて店が開いたら食材買いに行こう。

2024 #1
きらきら武士

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