方眼

落下の解剖学の方眼のネタバレレビュー・内容・結末

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

2023年”Anatomie d'une chute”。フランスの雪山。階段から落ちてくるテニスボール、追う犬スヌープ。ドイツ人作家の妻サンドラとインタビュー学生の会話、アップ切り返しで作家はワイン呑みつつ答えをぼかし。上の階から夫が鳴らす大きな音楽、不快で困惑し学生は家の外へ。息子ダニエルはスヌープと散歩。何が見えて何が聞こえているのか、全貌見せずに事件発覚。シニカルなタイトルをつけてる作品なので、ミステリー風ではあるが、意外な犯人でしたとかどんでん返しですとか、そんなことにはならんだろうと予想しつつ、法廷ドラマは進む。落下のシークエンスを、弁護士がイラストで、検視官が人形テストで、それを遠くから眺めて、カメラで撮って、模型で説明して、CGアニメで見せて、言葉で説明しているものをダニエルが想像して、何通りもの映像化。作家としての才能の差、家事の分担、時間感覚、罪の捉え方、不義とナイーブへの対処、ドロドロの夫婦喧嘩を息子視点で見せられる。フランス語と英語が交差する、その使い分けは、複雑な感情を表現する・判らない人には伝えたくない・ドイツ人とフランス人の共通言語で仕方なく英語。判らないことはまず調査と分析、それでも判らなければ最終的にはどっちかに決める。選択するフリをするのではなく、選んだ責任もろともその物語で生きていくということ。ダニエルはあの年齢で、もう親離れせざるを得ない。でも保護官マージとスヌープがついている。人と事態は複雑だが、映画として落とすその選択は的確。犬映画としても結構上位入り。
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