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落下の解剖学のナーオーのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
3.0
面白いし見応えはあったけど………
(めちゃくちゃ うるせー こと言います笑)

カンヌ映画祭では最高賞のパルムドールを受賞。今年3月に開催される第96回アカデミー賞でも作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞、編集賞の5部門にノミネートという公開前から非常に高い評価だったからなのか、公開日初日の時点でほぼ満席状態でした。

まず、大前提に面白かったです。
152分という長尺ながらダレることはなく、終始画面に釘付けになりました。

本作は予告や宣伝からミステリー映画と思うかもしれません。もちろんその要素もあるにはありますが、メインとなるのは裁判劇を通して描かれる"家族の話"です。なので犯人探し、事件なのか事故なのか という ことを期待している人は肩透かしを食らうかも。

またドラマチックよりも生々しさを重視した淡々とした撮影のため、画面に対する変化がなくて退屈してしまう人がいるかも…… ただこの作風だからこそ夫婦喧嘩の場面は観ていてお腹が痛くなりそうなくらいの嫌〜な緊迫感を作り出せたんだと思います。

本作の演技でアカデミー主演女優賞にノミネートされている主演のサンドラ・ヒュラーを初めとした俳優陣の演技も全員素晴らしかったです。特にパルムドッグ賞を受賞したもの納得の見事な演技を見せてくれた犬のメッシ君がズバ抜けて凄かったです。正直、観ている最中はなぜこのワンちゃんがパルムドッグ賞を受賞するなど絶賛されたのか疑問でしたが、とある場面で納得しました。

あれはどうやって撮影したんだ⁈
流石にマジでやったわけではないだろうし… ということはこのメッシ君の演技。これはパルムドッグ賞だけではなく、大至急アカデミー賞最優秀ドッグ賞を作って、受賞させるべき。

このように面白かったです…

ただここから完全に苦言…
観終わった後にこのことを知ってしまって、映画の評価が変わってしまったほど。

本作の監督を務めたジュスティーヌ・トリエ監督はインタビューで、本作は人から発せられる"言葉"と、そこから伝わる内容を重視するために、回想シーン必要ないから本作には回想シーンは使っていないとコメントしています。

劇中の裁判シーンで挟まれたあの夫婦喧嘩の場面はあれは事実を振り返る回想シーンではなく、喧嘩の録音を聞いた人が想像した再現シーンだ。というトリエ監督の言い分。

いや あれは完全に回想シーンです笑
実際、みんなあれを回想シーンと解釈している人が多いし、そもそも、それを言っちゃえばなんでもアリではないでしょうか…

それを回想ではなく想像だと言うのなら、僕たち観客にも音声だけを聴かせて、想像させるべき。

想像シーンが回想シーンみたいになっている時点で、映画としてあまり上手くない。トリエ監督の言っていることが卑怯というか、なんかセコい気がして映画の内容や結末よりもモヤモヤします……

ということで、賛否で言うなら
僕は完全に"否"です。

あとダレることない152分だけど、そもそも152分使ってまで描く内容ではない!
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