ナーオー

ロスト・イン・トランスレーションのナーオーのレビュー・感想・評価

3.0
その国の文化や言語を理解できないことによる疎外感…

今週公開の『プリシラ』の前にソフィア・コッポラの過去作を鑑賞。日本が舞台でビル・マーレイがオスカーノミネートされたってことくらいしか知らなかった作品。

結構好き嫌い分かれる作品だと思いました。なぜなら外国から見た日本、綺麗事だけではなく、割とネガティブな部分も描かれているからです。人によっては差別的と感じる人もいるかも。

個人的にもビル・マーレイが英語が話せない日本人コールガールと… の場面は普通に英語が話せない日本人のアメリカ人が小馬鹿にしているように感じたり、病院の場面では英語を話せない老人をまるで子供のように接したりと、日本人からすれば結構嫌な場面が多かったです。

ただこれはアメリカ人だけではなく、日本人からしても旅行先で行った国の文化や言語が分からないとこうなってしまうと思います。ハリウッド製作の日本を舞台にした作品。例えば『ブラックレイン』や『ラスト・サムライ』、最近のだとマイケル・マン製作の『TOKYO VICE』など日本語が話せない主人公でも英語が話せる日本人キャラクターが登場し、その人がサポートしてくれる みたいな映画は多い。でも実際はそうとは限らない。全員が全員、洋画に出てくる渡辺謙や真田広之のような流暢に英語を話せる人とは限らないし、むしろ話せない人の方が多いと思います。

なので本作の日本の描き方は日本語が分からない外国人の視点でめちゃくちゃリアルだと思いました。言葉が分からないことによる嫌悪感やそこから来るユーモア。

特に本作の演技でゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞され、オスカーにもノミネートされたビル・マーレイ。彼の日本語が分からず、どう対応していいのか分からない演技やこれで合ってるの?みたいな絶妙な表情など流石でした。

撮影時はまだ10代だったスカーレット・ヨハンソンもめちゃくちゃ綺麗。スカーレット・ヨハンソンが演じるシャーロットという女性の夫ジョンを『プライベート・ライアン』のジョヴァンニ・リビシが演じていますが、一応このジョンのモデルはソフィア・コッポラの元夫で映画監督のスパイク・ジョーンズらしいですが、スパイク・ジョーンズ本人がこの映画を観た感想が知りたい笑

また一部シーンは撮影許可が降りず、ゲリラ撮影が行われたそう。だからこそ、ごくごく自然な日本の風景でした。

ただ個人的には"普通の日本"を見せられても何も思わない。それなら『ブレードランナー』とか『ブレット・トレイン』とかサイバーパンク風、グラフィックノベル風の"JAPAN"な『ロスト・イン・トランスレーション』が見たかった笑
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