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落下の解剖学のあのレビュー・感想・評価

落下の解剖学(2023年製作の映画)
4.3
あまり前情報入れずカンヌパルムドールだったら絶対好きだという確信で観た(はい、好きです
会話劇苦手な人は絶対やめた方がいい、映画館結構寝てる人多かったので...

ミステリーがっつりなのかと思いきや完全に夫婦の話だった
ふたりの関係性をほぼ会話だけでどんどん抉り出してくるのでしんどすぎて途中もうやめてくれ...となった(犬がかわいいのが救い、いやでも

夫婦って家族といえどもはや他人なんだよなぁと改めて気付かされた

フラッシュバックの使い方の絶妙さがうまくて、そこは映像で見せてくれ!というところは意図的に音声のみにしてあるバランス感がすごい=真実がわからないようにしてあるのが面白い

ドイツ人、フランス人の夫婦でロンドンからフランスにやってきて、ある部分は英語、いやでもフランス語で話してもいいですか、みたいな言語ミックスの設定も大変素晴らしく、それが後々効いてくるのも脚本の巧さ

子役の演技も恐ろしく上手く(ピアノの弾き方も含めて)またすごい子が出てきたなと
やっぱこれは常々思っていることだけど、夫婦関係が悪化して一番影響受けるのって子供なんだよな

法廷始めます!となるも子供の入室で一旦ストップになると途端に傍聴の人たちが自分とは無関係のことかのようにざわざわ喋り始めたり笑っている様子を映すのが、ドキュメンタリーのようで所詮は皆他人事なんだなということがわかる何気ないのにグロテスクな演出が大変良かった
こういうシーンも入れられる監督、とても良い

夫婦の喧嘩のシーンはきつすぎて終わった後たぶん傍聴席の人たちと同じ顔してた
思っていることをガンガンぶちまけまくるし、今まで溜め込んでたものが一気に爆発するのとか、なんかあのシーンだけやたらリアルで恐ろしかった...

男女これ逆転していたらどういう流れになったかな、とか、話している人はあくまでも当事者だから亡くなった人がいる以上わからないこともあるよな、とかいろいろと裁判についても考えさせられる

オスカーとってほしいなぁ
あ