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枯れ葉のあのレビュー・感想・評価

枯れ葉(2023年製作の映画)
5.0
配給 ユーロスペース
字幕 石田泰子

映画初め 観た後多幸感でいっぱいになる
今年の1本目をこれにして本当に良かったけど昨年の締めの1本にしたかったような気もする まぁとにかく最高よ!10点くらい付けたい

フィルム撮影独特の素敵な色味、小津映画の影響を確実に受けているであろう差し色の赤、いつの時代かわからないようなアナログな生活をしている人々、でもラジオはロシアとウクライナの戦況を毎日伝えている
ささやかな、そして何気ない日常に戦争が隣り合わせになっているところを的確に描写している様が辛い
そして同時に労働しなければ生きていけない我々の生活の表れもあり、低賃金で働かされ続ける終わりのない世の中の厳しさの描写もしっかりとなされている作品

物語の中心はアンサとホラッパだけど スーパーで働く同僚が結託してくれているところや、友達に恋愛相談をするところなど 女性同士のやり取りがコミカルに描かれているところも好き

ジャームッシュのデッド・ドント・ダイ、私はあまり好きな映画ではなかったがこれを初めて一緒に観にいく映画にチョイスするなよ!!と思いきやこんなに笑ったの初めてだよーと言っているのがかわいかった
ふたりが視線を交わし合う初対面の瞬間からはぁこの映画好きだー!となったしアナログな方法で連絡先を交換して、劇場で待ち続けるなんて何時代だよ?でも映画だからいいんだよ!素敵! 犬もかわいい たまらん

タバコの火を消した瞬間に照明が落ちるのとか、食器を用意してその一方お花を用意しているところが映し出されるのとか、シーンの瞬間瞬間がいちいち全部素敵。最高。

あとマリメッコのバッグを使っている人が普通にスーパーにいるの、めちゃくちゃフィンランドだなと思った

流れる音楽が全部最高、特にあの二人組の曲、良い...タイトルの枯れ葉もエンドロールでしみしみに余韻を残してくれて良い...

ラストの後ろ姿の美しさは絵画レベルだった
というか全シーン絵画レベルの美しさ
光と影のコントラストが相変わらず美しい
相手のダメな部分はダメだとはっきり言えたり、うれしいときはうれしそうにしたり、なんかしみじみ細々とした縁でも、というかこれ!と決めて大事にしたいと思うつながりこそ大事にしていかなくちゃいけないんだろうなと年始から思える

今年は年明けから大変なことが続くし、戦争や労働環境も含めて世の中はなかなか何も改善されていかないけれど
だからこそ、余計な関わりや自分が必要ないと思うつながりよりも本当に自分が大事にしたいと思う人・事を大切にしていきなよってカウリスマキが教えてくれた気がした うん、そうだよね コロナ禍以降ますますそう感じる

カウリスマキ、少しずつでいいのでこういう素敵な映画を作り続けてほしい
過去作全然観られていないからマラソンしたいなぁ、何がおすすめ?
とりあえずAmazonで絶妙に買えそうな値段のブルーレイボックスふたつ、誰か誕生日プレゼントにください(自分で買え

おかわりしたい〜 (観る前から買う気まんまんだったポスターが売り切れていたのは悲しかった
あ