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オッペンハイマーのあのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
4.0
IMAX レーザーGT
字幕 石田泰子

これから観る人、最低限
①オッペンハイマーの歴史
(ざっくりで良いので何が起こったか)
②公式HPの登場人物紹介
③原子の構造(映像面で楽しめるシーンがある
④オッペンハイマーの聴聞会(カラーパート)
ストローズの公聴会(モノクロパート)の時間軸がある
これを知っておくとこの映画に対する理解度は高まるはず(というかこれを知らず全く初見で見ると意味がわからないと思う
でも他のノーラン作品に比べるとはるかにわかりやすい映画になっている

1.43:1になるシーン多いけれどDUNEほどIMAXで観る必要性は感じなかった
サウンド面に関してはIMAXもしくはドルビーの方が良いと思う(通常上映で観ていないのでなんとも言えないが

広島・長崎への投下の直接的な映像がないのは、所詮原爆を作ったサイドには目にすることがない光景なんだからだろうなと感じた
投下場所を選ぶ会議は日本人から見ると本当に息が詰まりそうになるし、かといってこの描き方しかできなかったとも思える
ビターズエンドはよくこの映画を配給してくれたなと思うし(IMAXの大画面にビターズエンドのいつものロゴが出たの、すごく感激した)ひとりの人間の物語として観るべき作品

もはや時系列シャッフルなしで良くない?と途中何度も思ったが(ノーランがなぜあそこまで時系列入れ替えにこだわっているのか謎)
シャッフルしつつピークのトリニティまで持っていく緊張感の高め方はさすがで(ゴランソンのスコアもかなり役立っている)編集が上手いなと思った
音が遅れて聞こえて来る演出は恐ろしいし人々が歓喜している様は日本人から見るとかなりキツい

ゴランソンのスコアはどの作品も反復の音作りが多く、今作で言うとオッペンハイマーが服を自分のスーツに着替えるところ、トリニティのシーンが大変効果的で良かった
(わたしはノーランにはハンスジマーよりゴランソンの方が合っていると思う)
自身のスーツに身を包むのは彼が自分の行動を貫いて研究開発に励むという姿勢を意味するのかな
青い目に合ったようなブルーのシャツのみ色彩があり、その他は極力色彩を排除したような衣装デザインも良かったし、時系列が入り乱れてもヘアメイクでだいたいどのくらいの時代かわかるようになっているのが良かった

キリアン・マーフィーの目の演技がとにかく素晴らしくて、台詞に表さなくても何を考えているかを表現できる役者であることを改めて感じさせられる
主演の作品少ないけどもっと主演作増やしてほしい

青酸カリが垂れるりんご、雨、涙(で目が黒くなるほど)、観客から見下ろされるように行い拍手を上から浴びるスピーチ、元恋人の最期、とにかく原爆を想起させる落下のモチーフがあちこちに散りばめられているのもこの作品が原爆を扱ったものであることを、そして彼が原爆を作った人間であることを観るものに常々思い出させる作り方で恐ろしい
その他にも講義を聞く学生が円になって中心のオッペンハイマーを囲む座り方は原子の構造を表していると思うし、撮影も美しかった

1点、
ノーランは女性をいつも悲観的な存在として描くのがわたしはものすごく嫌なのだが、今回キティはまぁ良いとして(そりゃ夫がずっと家にいなくてワンオペで子育て大変にきまってる)
ジーン、というかフローレンス・ピューの扱いが酷すぎてドン引きした
ジーンの描き方はしょうがないとして、あそこまで脱がせ見せる必要性が物語において全く感じられないので、(キリアン・マーフィーを脱がせているからいいだろ、みたいな雑な扱いに見える)
ハリウッドでは極力体を見せないように取り計らっている人もいるのにノーラン気持ち悪い、無理、となった
あ