先に言っておくと本当に、この映画にカタルシスを求めるべきではない、というやつね、、ドキュメントかと疑う程のリアルさ。
こういう映画こそ！映画館で見るべきだなあと思ったな。ストーリー性やミステリーでのどんでん返し！ではなく、圧倒的な心理描写を観る作品。ザ・ホエールと同じ雰囲気を覚える。
前情報ほぼなく行ったので、意外にも法廷にて話が進んでいく作りに驚き。父親の突然の不審死に対して被告席に立たされた妻。同じく証言台に立たされる息子。
彼女の弁護人の台詞にもあるように、「実際に本当にそうだったか」は関係ない、「第三者から見てどう思われるか」が重要だ、というテーマ。
何というか本当に、誰の感情も理解できるのが凄いなあと。普通なんだこいつ！と誰かを悪人にしてしまったり、この人がこんな行動をしたせいだとか何かと理由や位置関係をつけたくなってしまうものだけど、この映画にはそれがない。別に誰の味方でもないし敵でもない。
会話の中に「まあ言いたいこと分からんでもないよなあ」というのがちゃんと全員に見える。他の人が見るからこそ分かる、この人そういうとこあるよねみたいな駄目なところとか。その立場ならそりゃそう思うよなあとか。いやそれは駄目だけどタイミングがねぇとか。まあ本当にみんなの言い分がめっちゃ分かる。裁判官の気分なる。
それに作中何度も出てくる、「フィクション✖️本当のこと」という部分。フィクションが事実を超えるという話も、この作品が本当に体現しているなあと思ったり。
時々入るPOV形式の撮り方だったりが、これはフィクションか？もしかしてドキュメント？と途中分からなくさせて来て良い。
あと圧倒的、耳の不快感ね、、様々な音楽が歪にふりかかって来て良い不快感をくれる。全部見たら冒頭の会話シーンの表情に覚える違和感も、「そういうこと？」と考察させてくれたりする。私は好き。
