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コシュ・バ・コシュ 恋はロープウェイに乗って 4Kレストア版のbarakachanのレビュー・感想・評価

4.2
内戦下のタジキスタン。どうしようもない男たちが賭博に明け暮れる中、ひとりの美女が帰ってきて…

というお話。

フドイナザーロフの映画、3本目で、彼の映画の特徴がわかってきて、面白かった。

いい年した男がデコピン遊びしたり、浮気がちょこちょこある、相手への嫌悪の気持ちを表すとき窓ガラスを割る、くすねるレベルの盗みがある。突然人が死ぬ。

これがタジキスタンの特徴として拡大解釈してよいかわからないけど、国のぼんやりしたイメージがわいてきた。
一度は訪問してみたい、なんとも愛すべき国。

この映画は、どことなくコミカルなんだけど、内戦下で撮影されていたので、映像だけでなく、何より音で、戦争を常に意識させるものでもあった。
少年の映画でも不思議な音が時折あったけど、この映画もしかり。
戒厳令下の見回りパトカーのサイレン音だったり、風の音だったり。具体的なもののときもあれば、空気感を表すような音で、感覚的にぞくっとさせられるもので、とてもいいな、と思った。
そしてそれは、日常に入り込んだ内戦の恐怖や感覚を直接的に描くこと少なく、観客に伝えていく。

あとは全編に感じるセンスのよさ。
構図のとり方、色の使い方がかっこいい。でも見せようと気張ってないのが、すごくいい。
この映画は低予算映画だろうけど、予算渡せばルナパパみたいな映画、撮っちゃうよね、と思った。
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