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グランツーリスモのKentaCのレビュー・感想・評価

グランツーリスモ(2023年製作の映画)
4.2
ドライビングゲーム「グランツーリスモ」のトッププレイヤーを集めて本物のプロレーサーを育成する日産のプロジェクト「GTプログラム」が立ち上がり、レーサーになることを夢見ながらこのゲームを愛する19歳の青年ヤンが挑戦する、実話に基づく物語。

夢を追いかけ続けることの尊さと素晴らしさを熱く真正面から人間ドラマとして描きつつ、
レースシーンにゲーム的演出をアクセント程度に混ぜることでレースとしての臨場感と視覚的分かりやすさも同時に成立させるという、
こちらの作品への没入感を高めてくれるための仕掛けとそのバランス感覚が際立つカーレース映画でした。
このあたり流石「第9地区」「チャッピー」のニール・ブロムカンプ監督という感じです。

ぶっきらぼうだけど人間味溢れるおやっさん的立ち位置のチーフエンジニア・ジャックとの関係性もまた良く、彼の存在と言葉によりヤンの心が支えられるという、2人の絆が伝わってくる様もまた丁寧に描かれています。

映画にも(別の俳優さんが演じていますが)登場するグランツーリスモ開発者の山内一典さんが、あるインタビューで語られていた「(GTアカデミーは)人と人が出会うためのプログラム」という言葉に込められた想いがちゃんと映画を通して伝わってくる、しっかりと「人」とその「繋がり」を描いた素晴らしい作品でした。
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