Leaf

瞳をとじてのLeafのレビュー・感想・評価

瞳をとじて(2023年製作の映画)
3.9
ビクトル・エリセ31年ぶりの長編新作。
ゲーム業界で言うと上田文人みたいな人だなとつくづく思う。作品決して多いわけではないのに、圧倒的な存在感がすごい。

映画制作中に突如として失踪した俳優、未完成のまま映画制作をやめた監督。とあるテレビ番組をきっかけに自身の過去と再び対面する...

静かな展開が多い中での169分、ただところどころの光の使い方のうまさや、単純に綺麗なカットに感動。あと、ここってこんなにサラッとフェードさせるのか、と個人的には感じたりなどした。

なんとなく主人公の映画監督には監督自身のこと反映してるんだろうな〜とは思ってたけど、想像以上にその通りだった。この辺りはパンフレットの解説に感謝。単純に自分の経験値不足。
多分これまでの累積がある人は各シーンの行間にめちゃくちゃ感じ取れるところがあると思うし、そこがこの映画の面白いポイントなんだと思う。
元々まだ観たことがないエル・スールを先に観たかったけど、時間の関係で順番逆になっちゃったのがちょっと残念。来週観ます。

とはいえ、映画制作に始まり、途中距離を置いても結局映画に戻ってくるところ含めて、本当に映画という表現媒体の力を信じてる人の作品なんだなというのが強く伝わった。
重要なのは間違い無いけど、結局それほど触れられない"過程"の扱いも面白い。具体的なものの積み重ねで作り上げられるフワッとした何か(正確では無い気がするけど、イメージとしては人間性とか、心情とかそういうの)。
それ自体を映像に落とし込むことは難しいんだろうけど、作品全体を通してその大切さを表現していたのかもしれない。
ラストも個人的にはすごく象徴的に感じた。

ミツバチのささやきから50年後に同名"アナ"役で登場するアナ・トレントもそのセリフ含め、監督自身が撮ることで意味をなす構図に歴史を感じる。そういう意味でも集大成なのかも知れない。
Leaf

Leaf