こたつむり

ブレイド3のこたつむりのレビュー・感想・評価

ブレイド3(2004年製作の映画)
2.5
★ 全てはブレイドから始まり
  ブレイドで終わる

『ブレイド』三部作完結編!
…っていつから三部作の構想があったのでしょうか。正直なところ、この内容ならば四部作、五部作…と続けることは可能。“完結編”という言葉に意味を見出すことが出来ませんでした。

確かに敵はこれまでよりも強大。古代より眠っていたヴァンパイアの《始祖》が相手ですからね。八面六臂の活躍を繰り広げてきた《ブレイド》が苦戦するのも当然…のはずなのですけれども…。

主人公と対峙してもすぐに逃げ出すし。
特別な必殺技や攻撃手段があるわけでもなく。
ヴァンパイアの弱点である太陽は克服しているみたいですが…んー。これ、本当に強敵?

それに《始祖》を演じたのはドミニク・パーセル。そう。『プリズン・ブレイク』の《お兄ちゃん》なのです。これは本作の所為ではありませんが、どうしても“単細胞”の印象が強い役柄だったので…うー。最強の種に見えません…。

でも、敵が弱くてもね。
面白ければ良いのです。
何しろ、本作を仕上げたのは『ブレイド』三部作全ての脚本を書いたデヴィッド・S・ゴイヤー。シリーズに精通し、この作品世界の着地点を描くに最適な人選…だったはずなのです。

しかし、ヴァンパイアと人類の両方を敵に回す…という布石を全く活かせていないし、何よりも《ブレイド》の仲間たちを活かせていないのは、確実に脚本の時点で問題あり。

やはり、本業(脚本家)と二足の草鞋を履くのは無理だったのでしょうか。映像面が垢抜けないのも、本業ではない重責に負けた…ということなのかもしれません。

確かに彼の経歴を眺めてみれば。
あの『ダークナイト』三部作の脚本を手掛けていますからね。本来のポテンシャルを発揮できなかっただけ…なのです。たぶん。

まあ、そんなわけで。
『1』はスタイリッシュなアクション。
『2』は監督さんの偏執的な異形への愛。
と脚本をサポートする要素がありましたが、本作は“剥き身”で勝負。だから、劇中の台詞に倣って言うならば「全ては脚本から始まり、脚本で終わる」…それに尽きる作品でした。
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