♪ 祭が始まり
炎はまた消えてゆく 深い嘆きノ森
『○○が鳴く頃に』
と言えばミステリを期待しちゃう僕ですが『ころに』じゃなくて『ところ』なんですね。『ころ』は合っているんだけどな。ころころころ。
じゃあ、本作はミステリじゃないのか、と言うと、ミステリ…と思わせておいて、実は少女の成長譚…と思わせておいて、やっぱりミステリだった!的な感じだと思います。勿論、感じ方は人それぞれですけど。
特にね。伏線の使い方が上手いんですよ。
「うーん。その選択はアリなのかなあ」と思わせておいて涙腺が弛む展開…からの「あれ?あの証拠品の持つ意味合いは…?」という違和感を昇華させる“爆弾”。
いやぁ。見事に振り回されますね。
思うに、場面転換毎に西暦のテロップを入れるのも作戦のひとつ。とてもクレバーな作りだと思います。明確に解る“罠”じゃあないんだけど、気付いたら湿地の奥深く…沼にズブズブとハマっている…みたいな。
うほほ。これは良い仕上がり。
本国ではあまり評判が良くなかったみたいですけど、きっと大雑把な国民性には合わないんです(←問題発言)。違いの分かる大人だけが楽しめれば良いのです(←更に問題発言)。
まあ、そんなわけで。
切なさと愛しさと心強さと。
湿地に捨てられた少女が諦めずに前を向くドラマ。ミステリを期待しすぎると肩が下がると思いますので、予断とか先入観は捨てて、真っ新な気持ちで臨むのが吉です。
あと、ザリガニは出てこないので要注意。
熱狂的なザリガニのファン(が一般的かどうかは分かりませんが)の期待には添えられないと思います。というか、ザリガニって鳴くんですね。どんな鳴き声なんでしょうか。「ギャッギャッ」と鳴くのかな。それは少し怖い。