こたつむり

クライシス・オブ・アメリカのこたつむりのレビュー・感想・評価

3.2
♪ さまよう 夢と指が腐りかけた
  幻覚だろう 薄弱だろう 教えてくれよ
  そんな嘘だろう 真実だろう 
  どうでもいいさ

ゴリッゴリに生真面目なサスペンスでした。
簡単にまとめると、戦場で仲間を救った英雄の真実を探る…という物語なんですけど、正気と狂気の境界線を丁寧に描いているんですね。だから、ひたすらに重いんです。

しかも、政治に絡む描写もありますからね。
自分の国ですら、完全に理解していないのに、他人様の政治システムが容易に解るはずもなく。頭の中で噛み砕くだけでリソースはいっぱいいっぱい。フリーズ寸前です。

そして、色気も何もない硬派な配役。
勿論、僕も硬派一筋ン十年ですから、色気がないのは問題ないのですが、それでも全てがゴリッゴリに堅苦しいと、さすがに潤滑剤が欲しくなります。

それに全体的に暑苦しいんですよ。
役者さんのアップも多いですしね…って鑑賞後に気付きましたが、ジョナサン・デミ監督の作品だったんですね。なるほど。それならば納得です。『羊たちの沈黙』も真面目でしたよね。

だから、海外で高評価なのも頷ける話。
海外産ミステリを紐解くまでもなく、向こうでは“堅苦しい”のを尊ぶんですよね。これは“個が確立した文化”が背景にあると思うんですが…映画とは関係ない話なので、ここまでにしておきます。

まあ、そんなわけで。
娯楽的な題材を真正面から受け止めて丁寧に仕上げた作品。つまらないわけではないのですが、ひたすらに疲れるので気軽に臨むのはオススメしません。杜撰な部分を補完する…そのくらい前のめりの姿勢で行ければ良いのですが…。

ちなみに一緒に鑑賞した愚息の感想。
「僕が11歳なら寝てたね」
いや、今回もかなりヤバそうだったけどね。寝息のような音も聴こえていたよ。ふふふ。
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