レネリー

哀れなるものたちのレネリーのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
5.0
劇場で鑑賞

星5では足りない。

不条理劇な作風と圧巻の独創性が特徴的なギリシャの鬼才監督・ヨルゴス・ランティモスの最新作「哀れなるものたち」を観に行ったが、オールタイムベスト級の最高傑作だった。
明らかに賛否は分かれる映画ではあるが、ハマれば抜け出せない魅力が詰まってる。いや、魅力しかない。マジで。

自ら命を絶ち、天才外科医によりお腹にいた胎児の脳を移植し蘇生した無垢で純粋で自由奔放な主人公ベラの女性解放と成長がテーマとして描かれている。
しかし、女性解放が全てではなく、自身の自由は自身のものであり、体も心も誰のものではないという女性のみならず、男性にも当てられるメッセージ性がとてもクドくない描かれ方をしており、腑に落ちる映画で安心。
僕は女性解放映画が大嫌い。反対しているからではなく、女性が自己中心的な描かれ方をする映画が大半だからだ。「スワロウ」なんてこの世に存在する映画の中でも最低最悪な本当に酷い映画。
そんな小難しい内容はさておき、セット、カメラワーク、音楽、衣装とダメな要素が全くない上に、ジェンダー論を超越する内容にはもう言葉が出てこない。

この映画はジェンダー論を超越したシーケンスだけでなく、目で観て楽しむような直感的な楽しみ方でも全然良いと思う。あのシーンが好きとかあのセリフが好きとかあの風景が好きとか。
この唯一無二な世界観は絶対に酔いしれるはず。
レネリー

レネリー