やんげき

哀れなるものたちのやんげきのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.2
おそらく観た人が抱く感想射程の広さと深さがすごい作品。そこでもう傑作といえるんじゃないでしょうか。

バービー、パラサイトのようなコンテクストの多彩さ、レミゼラブル、メトロポリス、フランケンシュタインといった往年の名作級の普遍的なヒューマニティーへの悲哀、アイロニーと豊かさ、身体と心を取り戻していく的な意味ではどろろ的でもある。

さらに宗教絵画的とも言える独自の世界観や映像表現の美しさ。これぞ一流の作品!

が、率直な感想を言えば、見ていて気まずい!
初めは、ピュアでひたむきな性生活。
後半は男たちのプライドをあらゆる角度で剥ぎ取って、追い落とす逞しく賢い女の成長という容赦のないコントラスト。男として観ていて辛い!

笑いたいのに笑えない自分が辛い。最後は思わず、大佐ッッー!と叫び出したくなりました。

「プログレス(進歩)」って単語を何度も使ってたけど、社会規範を下敷きにしてない独特な過激さがやはり鬼才ヨルゴス・ランティモス印でした。
やんげき

やんげき