MrOwl

哀れなるものたちのMrOwlのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.0
予告編でそのビジュアルと世界観が好きな感じの映画だったのと、ウィアム・デフォーとマーク・マラファロという好きな俳優が出ていることもあり、観賞してきました。
イギリス・アメリカ・アイルランド合作のSFラブコメ映画という分類のようですが、「ロブスター」「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア T」という奇妙で不条理な作品を制作した、ヨルゴス・ランティモス監督がメガホンをとっているので、やっぱりなんとも不思議な世界観のある作品になっていました。
事前情報は全然入れずに観賞しましたが、面白かったですね。示唆に富んだ芸術性の高い作品、と観ることもできますし、SFラブコメ映画、と観ることもできます。自分は「ドクターパルナサスの鏡」「モモ」「タイムバンディット(バンデットQ)」などの現在とSF要素が地続きで融合しているような作品が好きなので、そうした観点で本作も楽しめました。フランケンシュタインのような継ぎはぎ顔のウィアム・デフォーが、博士だったり、マーク・ラファロがプレイボーイ弁護士を演じていたりするのも良かったです。本作の製作にも携わっているエマ・ストーンの演技も良かったです。特に終盤はそれまでの演技とのギャップが際立っていて良いですね。

※以下は少しストーリー展開には影響しませんが、若干ネタバレ要素もあるのでご留意ください。
ちょっと不思議なSF映画が好きな人にとってはウィアム・デフォー演じるゴドウィン・バクスター博士の奇妙な食事の方法、体に付いているチューブとその先にある装置が面白いでしょうし、馬車なのか車なのか?という乗り物や、船の形なども興味を惹かれるでしょう。あと本作はR18指定なんですが、これは表現がグロテスクだからかな、と思っていたんですが、観賞して分かりました。性の描写が、思っていたよりも具体的で、直接的だからなんですね。また娼館でのシーンが割と重要な位置づけになっているようですが、どうして娼館なのかと感じる部分もありましたが、本作には原作があるそうです(アラスター・グレイの同名小説。1992年発表)。脚本オリジナルでなく、原作にある部分を脚本したのかな、と理解しました。先ほど触れたように性の描写が具体的なのでその印象が強くなってしまうかも、と思うかもしれませんが、先述の通り、SF要素があったり、それぞれのシーンの舞台のデザイン、登場する人物の衣装、全体の配色なども拘りが感じられるので、「観る」を楽しめる映画です。敢えて広角レンズを使っているシーンなども多く、不思議な空間、世界での物語感が出ていると感じました。
MrOwl

MrOwl