新木

哀れなるものたちの新木のネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

監督にしては、と言っては失礼ですが、すごく観やすい仕上がりで、娼婦シーンの中盤くらいからものすごく不覚を取りましたが、ベラ(エマ・ストーン)よろしく徐々に自我を取り戻し(というか眠気から解放され)、後半の素晴らしい展開に、もっと不条理ぶつけてほしい思いもどこかで持ちつつ、とても良い作品を観させていただいた余韻に浸っております。

ベラの母親にあたる人格が死を選ぶも、ゴッド(ウィレム・デフォー)による脳移植による蘇生。そしてベラ自身が執拗にセックスを重ねていくことで自らの生を再び獲得していくさまは感動。ゴッドの死に際して、医者として生を繋げる役割を担う決意をするのも好感。不穏さを滲ませながらも物語の軽やかさを演出した音楽も秀逸。

ただ、結婚式でちょっと待った的に元夫の将軍が出てくる展開も、もうひと波乱つくる+ゴッドの死をより寂しいものにさせるものであったので良かったのだが、将軍の足を撃って手術を施したときにヤギの脳を移植する一連は飲み込めておらず。あくまで人間本位でしか生を語ってないことは見せなくて良かったのかもなーと(そのヤギの脳は一瞬映し出されたシーンを観るに、健康体のヤギから移植したんすよね)。葉っぱを貪るヤギ化した将軍を前にマティーニ的なカクテル飲みながら解剖学の勉強されてもなんか違う。

熾烈ジャンピング(でしたっけ)を通してベラがなにを感じどのように成長していったか、リスボンやらロンドンやらパリの土地性はなにを意味していたのか、モノクロとカラーの選択の是非、ダンカンのキャラクター、序盤のほう空飛ぶクルマ的なの浮いてませんでしたか含む時代感、「Poor Things」のタイトル、あたりを感じ取りに再見したいすわ。パンフレット売り切れてたし
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