ククレ

哀れなるものたちのククレのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

かなりどぎつい世界観の大人の寓話。予告編がとても興味深くてとても期待して観に行ったんやけど…これは好きじゃない。
この監督は「女王陛下のお気に入り」でもエマ・ストーン主役で性的な作品を作ってたけど、今作はやり過ぎやで…後半はウンザリしてきたわ。テーマや伝えたいことは分かるんやけど、露骨過ぎるねん。アカデミー賞とるかも知れへんからヒットすると思うけど、これから観ようと思う人は一緒に行く人に注意。付き合い始めのデートでは観ないほうがええわ。

以下はネタバレ…








映像はとても面白い。魚眼レンズみたいな映像とかキッチュな装飾品とか…ベラの衣装はいつも肩が大きくてヘンテコ。屋敷も街並みも個性的。リスボンでは飛行船がたくさん飛んでるし、船の形状もなんかSFチック。時代設定がようわからんファンタジーな世界は芸術的〜。

「自殺した女性の胎児の脳を移植する」というストーリーはとても興味深くて、ベラが次第に「発達」していく過程に引き込まれた。言葉が増えていって様々な世界が広がっていく展開は、「障がい者支援」を仕事にしている私にとっては「あるある」と思うこともあってリアルに感じた。

社会通念や道徳が習得できてないのに身体は「大人」だから性的な欲求を抑えられない、というギャップ。周囲が眉をひそめて注意しても、何がいけないのか理解できへん。これってよくあることやねん…。深刻な問題になることも多いねん。でも、今作ではこれこそが「ベラの自立」のために重要なんやね。モノクロから一気にカラーになるくらいの劇的変化が起こる。

エマ・ストーンのあっけらかんとした「熱烈ジャンプ」は、はじめは笑えるんやけど、次第に「そこまで生々しく見せなくてもええのに…」って感じた。パリではとうとう娼婦になるから変態プレイを何回も見せられる…。ゲェ…。

作品のテーマとしては、「男性の庇護や支配からの女性の成長と自立」ということやと思うんやけど、あんなにグロテスクな性描写を繰り返し見せつけなくても十分伝わるんと違うかな?監督の下品な変態趣味が垣間見えて気分悪くなったわ。ラストはDV元夫にヤギの脳を移植するという暴挙。結局、自身が「ゴッド」になったんやね…。

劇伴も含めてずっと不協和音が続いてる感じ。私にはこの監督のセンスが合わなかった。「クセの強い」作品やから、カルト映画の分類になると思うんやけどなぁ。アカデミー賞がこれを選ぶなら、ジェンダーとかフェミニズムの課題がそれほどまで浸透してきてるということかな?
万人にはオススメできへんのになぁ…。
ククレ

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