やさい生活

哀れなるものたちのやさい生活のレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
3.1
好みが分かれそうな映画。
メアリー・シェリーの小説『フランケンシュタイン』が元ネタと聞いて藤田和日郎先生の『黒博物館 三日月よ、怪物と踊れ』を思い出した。『哀れなるものたち』が好みだった方はぜひ読んでみてほしい。

古い街並みの中に浮かぶ近未来的な飛行船。下から舐める構図と魚眼レンズのような視界。クラシックとモードが混ざった衣装。(かわいい!)心地いいと耳障りの狭間を浮遊する音楽。そしてベラの存在。全てがちぐはぐで独特。劇場で見ることをおすすめする。

ストーリーに関しては前評判の通り女性の自立と解放の話ではあった。といっても主人公ベラを全肯定するわけでもなく、男性はひたすら滑稽に人間くさく描いて、最終的にベラが支配する側になってしまうっていう全方面への皮肉。この見方はひねくれすぎかも。
でもベラが一貫して「進歩・前進」を掲げていたのは良かった。それで間違いを犯すのも人間らしくて好感が持てる。
正直自分の中で評価が固まらないのでまた観たい。

そしてエマ・ストーンの瞳の演技、さすが。
最初は単語だけで話していたベラが段々ときちんとした文法を使うようになっていったのが面白かったので字幕で見てよかった。マーサのようなおばあちゃんになりたい。