ひば

哀れなるものたちのひばのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.2
見ながら人間は上下左右前後どれから認知するんだろうとずっと考えてた。また認知を獲得する順番は上→下(反対)なのか、上→それ以外(中間など)→下とシームレスなのか。虫は光の方向を"上"と思っているらしい。なぜ脳は下にないのか。時計は右周り。レース競技は左回り。生物は最初に摂取と排泄を行う前後、背と腹という前後の軸ができたことで副産物として左右ができたとか。生物はどちらか極端に特化すると生存にはリスクになる。ちょうどリルケを読んでいて、物事を言い切りたがるお前が触れることで"事物は凝固し沈黙する"の文を反芻するなどしていた。なんの感想でしょうねこれは。せめぎあいで生き延びるみたいなとこだよね。ヒューマンボディの身体的社会的欠陥映画を撮ってほしいな、人間の体は他の生き物と違って大きくなり続けることができないし完全に集団子育て型の幼体だし、不便なとこあるでしょう色々。
本来なら道歩いてるだけでも人間楽しいはずなんだがな。なんか、変化を"見せる"ものとしては髪型をばっさり変えたり服装のジャンルを変えたりするけどベラは見る見せるではなく自分の行動に重きを置いていてそれがいいな。肩のパフスリーブがすごすぎて下半身が心もとない…とずっと思っていた、そういう意図があるのかな、ファッションって難しいね。破壊に喜びを見出だすのは終わりだ!→そうだ創造だ!のストーリーをつくると女性はなぜか必ず出産がゴールになってしまうのでそこを避けるのが難しいよね。わたしが今一番オススメする幸せの近道は豚汁です。
『色男ホセク』って映画で、生涯貞操を守るよう修行していた寡婦が男装しプライバシーを守れる場として妓房に密かに入り浸ってるって描写があるんだけどああいうのも欲しかったぜ。この映画は女は家にいろと強いられるから友達もおらず、男と一緒に死ぬことを称賛するゲロゲロ文化、家父長が男女にもたらす罪映画の中でも気に入ってる部類なのでよかったら見てみてね
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