里紗

名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊の里紗のレビュー・感想・評価

4.6
名探偵ポアロ映画作品3作目!!本日より公開ということで早速行ってきました。
やはり安定的に面白い、アガサクリスティ。原作「ハロウィーン・パーティ」より少しアレンジを加えた作品らしいが、未読勢の私は過去2作の映画とはまた違う顔を見せてくれてとても楽しめた。遊び心ある、3作目ならではのやり口かなあと。

水の都・ヴェネツィアをテーマにしたハロウィンの夜。霊媒師が呪われた館に趣き、そこに住まう母親の依頼でかつて亡くなった娘の声を聞く場に居合わせるポアロ。ポアロ自身はもう探偵は引退したと言うが、どうしてもこういった場に巡り合わせると苦悩しながらも推理を始めてしまうところに人間味を感じたり。
前作ではなんというか、常にポアロから打ち震える程の「悪への怒り」というか。罪に対する怒りを感じていたけれど、ここにきて弱さや不安の部分にフォーカスされるのもまた作品のテーマに合っていていい。
また幽霊、という形のないものを取り上げるために、ジャンプスケアやホラーみのある魅せ方も多くて楽しめたなあと。さりげない伏線もその劇的なテンポの良さでうまく私たちの目をすり抜けてしまうからこそ、より真相が明らかになるとスッキリスカッとする。

それぞれの立ち位置が明確に提示されるのもアガサクリスティ作品ならでは。この限りある「容疑者◯人」がピックアップされ、それぞれの話を聞いていくとまた違うつながりがハマっていくシステムは古典的で見やすいよなあと。古典的って、この人の作品が今の世の作品を生み出していると言っても過言じゃない程原点なのでアレだけど。
絶対に面白いという信頼がある作品が美しく映像になるこの喜び、、やっぱり何度見てもいいなあ
里紗

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