シノミー

違国日記のシノミーのレビュー・感想・評価

違国日記(2023年製作の映画)
4.2
あなたの感情はあなただけのもの

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中学校の卒業式の目前、田汲朝(#早瀬憩)の両親が交通事故死してしまう。
お葬式に参列した朝は、親戚に預けられ、盥回しにされるものかと思ったが、朝の母の妹である槇生(#新垣結衣)の発言で引き取られることとなる。
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大人になれない大人と思春期の女の子による物語だった。

2人の性格は似ても似つかないし、槇生は子どもなど必要ないという考え方だったからうまくいかぬものかと思えたけど、2人の温度感は絶妙だった。

姉と育った槇生と母に育てられた朝。
同じ人と時間を過ごしていても、その認識は全くの別物。

理解することができるのかと言われると、その感情はその人だけが持つもので、理解できないこともある。
ただ、わかろうとする気持ちも同時に存在していることもあって、それは尊いことだと僕は思う。

自分の気持ちを出すことを恥ずかしいと感じる朝に対して、自分がやりたいと思ったことならば全力でやるべきだと言い放った槇生はめちゃくちゃかっこよかった。

失敗したらどうしようと焦る朝に、失敗しても次があるよと励ます槇生。

母親の代わりには母以外は絶対になれないけど、母とは違う人と過ごしていると、母にはなかった感覚や自由さみたいなものがあって、それを認める強さが槇生には備わっていた。

そんな2人の何気ない会話を見ていると、分かり合えなくても、一緒にいて助け合うことはできるんだなと痛感する。

槇生も槇生で助けられる価値など私にはないと悲しいことを言っていたけど、その槇生に、とても強い味方がいて、必要とされたいと思われていて、本当に素晴らしい関係だと思った。

槇生の友人がとにかくみんな輝いてんだよなぁ。

朝は誰かにとっての一番になりたいと話していたけど、それはすごく難しいし大変なことだと槇生に言われていて、そんな関係性ってきっと奇跡のようなものなのだと改めて思う。

人と人は分かり合えない。でも、乗り越えて生きていくものだと思えた。

色々メッセージの詰まった作品だった。
傷を再生していく物語だとも思えた。
替えの効かないものってあるよね。

餃子パーティ、最高だったな。
家でワイン飲み明かしたいなぁ。
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