ミツバチゴロバチ

パッチギ!のミツバチゴロバチのレビュー・感想・評価

パッチギ!(2004年製作の映画)
4.2
久々再見。うんまあ普通に面白かった、くらいの印象だったのだけれども…。

わぁ、これ今、今観た方が全然いい。こんなに響き方が変わるとは。

何せキャストが、塩谷俊さん、小出恵介さん、高岡蒼佑さん、沢尻エリカさんに、木下ほうかさん、坂口拓さん、そして偶然にも旬の真木よう子さん。音楽は加藤和彦さんときたもんですよ。いちいち言及しませんが、ねえ?すごいでしょ。

そんな彼ら彼女たちのキラキラ生き生きした姿に、あ〜こんな時があったのだなぁ〜、人生って色々あるよなぁ〜、と何だか優しくあたたかい気持ちで見ていられるのです。幸福な瞬間がパッケージされている。この映画には。って。

当時、沢尻エリカさんが、ほぼ本作で世に出て一躍注目を浴びたのですが、生来の天邪鬼な僕は、え?言うほどたいしたことないじゃん、この真木よう子さん(彼女も本作でブレイクしたはず)て人の方が圧倒的にいいじゃん!となり、そこがこの映画のマイナスポイントととまで思っていたのです。いやいや沢尻さん全然素敵じゃないですか!むしろですよ。

井筒監督の演出も、娯楽映画らしい誇張したベタな部分も入れつつ、花見のシーンでの複数の人間による、台詞の妙だけでないそれぞれの人間の性格や関係性を孕んだやり取りから生まれる自然な"いい"場面の作り方や、ある人物の出棺シーンでの、(苦)笑い→怒り→悲しみの感情を、短いスパンのアクションで一気に動かしていく技とか、改めてお見事だなあと。

当時は売れ線、賞狙いっぽく映って見えた本作の、その明るくポジティブな王道青春エンタメっぷりは、今や逆に貴重というか、うん、ほんとに今こそ一層輝いて見えます。