くらら

バジーノイズのくららのネタバレレビュー・内容・結末

バジーノイズ(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

全員がハッピーになるのは不可能だし、何が正解か分からないのがリアルだった。

主人公2人にラスト5分まで共感できないのは、どちらも自分の意思ではなく目の前の人に流されたり身を委ねてるのに、何か違うとしっくりきていない様子にモヤっとしてしまったからかなと思う。だからこそ自分で決めてバンドを選んだり仕事に就いたりするラストは、そこから売れっ子になるサクセスストーリーかは分からないけど、みんな今の自分に納得している姿が清々しかった。
始めから自分の意思がある陸や岬がかっこいいし、清澄を2人に出会わせてくれた潮や航太郎もありがたい存在!
潮は清澄の音楽を聴いて「初めて自分からいいなと思った」って言ってたけど、ゴッホのポストカードを複数飾ったり好みが部屋に現れていたのが気になる。そして清澄に依存するのめちゃくちゃ危険だなと思ったら案の定で、でもそうやってしか生きられない人もいるのかなと切なくもなった。

陸が抜けたバンドのボーカルが、初期からのファンが1人いてくれる限りバンドは辞められないと言い切る姿や、陸はAZURにいた方が幸せと素直に認めている所。
沖さんは清澄を閉じ込めて楽曲制作させてたけど、清澄もNOとは言ってないし、彼がいるから色んな人たちが出会い音楽が生まれ、多くの人に届いていくという事実があるし、悪者がいるんじゃなくてそれぞれの想いがあるのも良かった。
気弱なのに先走って行動しちゃう航太郎も憎めなくて好き。

打込み音楽は聞き慣れていないこともあり物足りなさを感じたもののベースが入った瞬間のグルーヴがかっこよくて、清澄が作曲しているものの陸がいないとその音楽が成立しないのもバンドならではだし、岬の「早く行くなら1人で、遠くへ行くならみんなで」って言葉がなんか頭から離れない。

旬のうちにたくさん曲を書かせる沖さんのやり方、ビジネスとしては間違ってないかもしれないけど潰れていく人もいるのはその通りだし、この作品含め大好きなドラマ「silentスタッフ」の表記を短期間に色んな所で見かけるのが生々しいなと思った。

あと撮影時、Twitterの名前がXに変わるなんて誰も想像できなかっただろうなと思った。
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