くらら

ソウルフル・ワールドのくららのネタバレレビュー・内容・結末

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ピクサーなのにがっつり大人向けの作品でびっくり。子どもの頃に観てたら後半怖くてトラウマになってたかもしれない。
カウンセラーが無理やり都合良くストーリーを組み立てられた感も否めないが、色んなキャラクターからグッとくる言葉が出てきてとても良かった。

一番印象的だったのは、床屋のデズの話。元々獣医を目指してたが家庭の事情で床屋になったのに、「たくさん面白い奴に出会えるし、その人を素敵にできる」的なことを言ってて、夢や煌めき・生活は1つに絞らなくて良いし、視野の広さや思考を転換することが人生を豊かにしてくれるということを教えてくれる、この映画のキーになる言葉だなと思った。

始めは人間界でのジョーの身体に乗り移った22番の自由さと身勝手さに少しイライラしたものの、本気で人間を楽しむ姿がまぶしかったし、よくよく考えて人間として生きるのは初めてなんだよなと思うと切なくなった。
その状態で床屋に行き、デズからジャズ以外の事を話せて楽しかったと言われる猫のジョーも切ない。(獣医を目指してたデズにその猫はヤバい的な事を言われちゃうし)

ハーフノートで憧れのミュージシャンと共演し認められてジョーの夢が叶ったのに「また明日もよろしく」と言われた途端になんか違うとなったのは、彼が22番に言い放った「それは煌めきではなく生活だ」というのが音楽にそのまま当てはまった瞬間だったからなのかなと思う。

ソウルの世界で逃げまくる22番は急にとんでもないパワーを蓄えててちょっと笑ったけど怖かった。
周りからすごい人の話ばかりを聞いて育ち、「私なんか何もできない」と言う姿は自分にも思い当たるものがあるし、ジョーの心の奥底にもリンクするものがあったんじゃないかなと思った。


その他備忘録
・ジャズという即興でその場の空気や出会いから2度と再現できないセッションがたくさん生まれる音楽と人生の親和性の高さ。
・たぷたぷお腹のもふもふ猫の再現度の高さ。抱きしめたくなった。
・テリーは人間界への馴染み方が天才的なのに、ソウルの世界での仕事(計算)ずさんすぎんか。
・ムーンウィンド、めっちゃいい奴!人間界では冴えなそうだけど、そんなのどうでも良くなるくらい最高にいい奴!退場シーンのあっけなさに驚くもどこまでも優しくて本当にいい奴!
・日本語エンディング曲、元々好きな曲だけどとってつけたようなジャズアレンジと、他のサントラの雰囲気があってなくて残念。映画も曲も単体では素敵だからこそ、こんなことしなくていいのに…と思ってしまう。
くらら

くらら