チッコーネ

貴公子のチッコーネのレビュー・感想・評価

貴公子(2023年製作の映画)
3.7
韓国映画界の真ん中を往く監督作をロードショウのタイミングで観れると、ワクワクしながら映画館へ。
後半に比べフィリピンが舞台の前半は静かなタッチ、3陣営に分かれた怒涛のカーチェイスから演出が加速し始め、銃撃アクションのクライマックスへ向かう。

旅客機でメインキャラふたりが果たす対面や、取り巻きを背後に従え苦笑うキム・ガンウなど、クローズアップの撮影が格好良くて印象に残る。
特にガンウは「いい顔」を連発。
ここ数年は出演作に恵まれず「このまま消えていくのかしら」と思っていたが、本作ではこれまでの監督作で、ファン・ジョンミンやチャ・スンウォンが担当してきたポジションを受け継ぎ、役目を全う。
彼のような中堅が、年齢と経験相応のキャスティングを得られる状況は、大いに歓迎だ。
映画館内にはTVドラマの人気者、キム・ソンホのファンらしき女どもがチラホラ見受けられたが、冒頭や前半に表れた監督流のハードな粛正演出には、ドン引きしたことだろう。
新進のカン・テジュは指名検索すると、日本の美容師が「朝●ボブ」と揶揄する髪型の画像ばかり出てくるが、本作ではスポーツ刈り。
結果として彼の、甘い美形が際立って見えた…、韓国芸能事務所の画一スタイリングは、ホントに何とかすべきと思う。

続編への色気があるのか、終盤はコメディタッチの演出が頻出。
全体としては監督流のノワールに、魔女シリーズで会得したエンタメセンスを融合させたような印象。