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ダンサー イン Parisのsymaxのレビュー・感想・評価

ダンサー イン Paris(2022年製作の映画)
3.7
"踊り方を変えるんだ…不完全でいい…君の身体は生きたがってる…"

パリ・オペラ座…エトワールを目指すエリーズ…才能溢れる彼女は、その夢の実現まであと一歩のところまできていた…あの時まで…

出番直前に恋人の裏切りを偶然目撃し、動揺したエリーズは足首を痛めてしまう…それはバレリーナとしては致命的な怪我となってしまった。

夢と仕事、そして恋を一晩で失ってしまい呆然とするエリーズにレジデンスでの料理アシスタントとしてのアルバイト話が舞い込む…流れに任せ働く事となったエリーズ…芸術をこよなく愛するレジデンスのオーナーであるジョジアーヌは、才能溢れるアーティスト達へ練習の場所として開放していたのだ…エリーズはその場所でコンテンポラリー・カンパニーと出会う…魂を解放するかのような力強く独創的なダンス…未知なるそのダンスは、エリーズにとって踊る喜びと新たなる自分自身を見つけることとなり…

冒頭から圧倒されるバレエ・シーン…エリーズを演じるのは、実際にもパリ・オペラ座バレエ団で活躍するマリオン・バルボー…その踊りは圧巻の一言…また、途中途中で描かれるトレーニング・シーンも驚異的な身体のしなやかは本物だけが持つ迫力。

オープニングとエンドタイトルがスタイリッシュでカッコいい…

ストーリーは怪我により、バレエを諦めなくてはいけない瀬戸際の主人公が、怪我をしたからこそ出会いにより"もう一つの人生"を始めるまでを結構、淡々と描かれています…が…随所に描かれるダンス・シーンが物語の良い緩急となっております。

監督は、ちょっと変わった構成の男女のすれ違いを描いた"パリのどこかで、あなたと"が印象的なセドリック・クラピッシュ。

本作でも、ただ単に"第二の人生探し"的なお話ではなく、クスッとさせるユーモアを折り込みつつ、レジデンスのオーナーとエリーズとの擬似親子的な関係や不器用な父との関係等を端折らず丁寧に描く事によって、ラスト"魂の解放"とも言えるダンスが生きてくるような気がします。

ちょっと予想していた内容とは違った展開にやや面食らいましたが、人生讃歌に溢れた良作だと感じました。

なんせダンスが凄い…このダンスはおっきなスクリーンで観た方が良いです。
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