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不都合な理想の夫婦のIMAOのレビュー・感想・評価

不都合な理想の夫婦(2020年製作の映画)
3.7
先日観た『アイアンクロー』があまりにも良かったので、ショーン・ジョーダン監督の過去作を観たくなり、まずはこの作品から。

英国人でNYで貿易関係の仕事をしているローリー(ジュード・ロー)。彼にはアメリカ人で馬の調教師をしている妻・アリソン(キャリー・クーン)、そして二人の子供がいる。成功した彼は裕福な暮らしをしているが、イギリスへの移住を決意する。難色をしめしていたアリソンを説得し、彼はかつての上司が経営する商社でポストを得る。野心的な彼は、ここで一旗上げようと働き始めるのだが…

話自体は(すごくシンプルに言うと)ある家族が崩壊しかけるが、それをなんとか繋ぎ止めて…という話。ショーン・ジョーダン監督はこの映画が長編2作めとなるが、すでにスタイルが確立しているのがよく分かる。出来るだけシンプルでいて、適切な位置にカメラを配置していて、まるでスチール写真の様に美しいフレームの内と外で芝居を捉える。もちろん、シーンによって移動撮影や手持ち撮影もあるが、なるべくシンプルにワンシーンを組み立てている。シーンを組み立てる時、実はこういう一見シンプルに見える方法こそが一番難しかったりする。シンプルなだけに誤魔化しが効かないのだ。役者も技術スタッフも相当な力量がないと、こうした画作りで良いシーンを撮ることは難しい。そして、こうした手法は最新作『アイアンクロー』でも一貫している。
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