こういちろう

ナポレオンのこういちろうのレビュー・感想・評価

ナポレオン(2023年製作の映画)
2.9
うーん、何だったんだろう?この作品は・・。戦闘シーンは文句なしの迫力で素晴らしい。もしかしたら、それだけでも観て損はないのかも知れない。
でも、ナポレオンはどうして強かったのか、(ロシア遠征に失敗したことは別としても)どうして負けたのか、つまり、ライプツィヒの戦いやワーテルローの戦いでどうして負けたのか(初期の頃の戦いと何が違ったのか)、どうして皇帝になれたのか、どのようにジョゼフィーヌを愛するようになったのか、どれも描かれていなかったような気がする。そして、ナポレオンってどういう性格だったのか、という点すら、あまり伝わってこなかった。これらは欧米で常識だから描かれなかったのだろうか。いや、そんなことはないだろう。説明不足は否めないと思う。なんとなく勝って、なんとなく結ばれて、なんとなく負けたという感じ。
戦闘とジョゼフィーヌとの関係が交互に描かれるが、戦闘シーンはよいが、ジョゼフィーヌとの関係は、そもそも歪な関係であることもあるが、ナポレオンが彼女のどこに魅かれたのか描かれていないので、腑に落ちない。この二人の関係をこの作品に大きく絡める必要があったのだろうかとすら思う。かなり月並みではあるけど、普通に世界史的視点で描けばよかったのではないだろうか。
戦闘シーン以外はほとんどナポレオンとジョゼフィーヌの話である。二人の周りの人物も登場はするが、あまり描かれていない。ナポレオンの弟や母親も出てくるが、どういう関係性なのかは描かれていない。どれも中途半端。ナポ、ジョゼ以外の人間ドラマがない。そして、ナポ、ジョゼの関係も説明不足という・・。脇役陣の存在感がとても薄いことも、この作品から厚みを感じさせない理由なのかも知れない。
これらについては、尺が2時間半もあるんだからもう少し何とかできなかったのかなあと思う。
そして、かなり邪推であるが、試写会でこの作品を観たYouTuberの人がこの作品を絶賛していたのだが、試写会で観た立場上、絶賛してるだけなのではないかとすら思えた。感想は人さまざまだから、面白かったという感想を疑うのはよくないが、そう思えるくらい拍子抜けの作品だった。
ただし、繰り返しになるが、戦闘シーンは素晴らしいと思う。