こういちろう

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのこういちろうのレビュー・感想・評価

4.2
大作だった。3時間30分弱の長さがあり、観る前は不安だったが、結局、腕時計に目をやる暇などなかった。スリリングであるとともに、展開が速く、飽きさせないところは、スコセッシの上手さなのだろうと思う。長いのに無駄がない。相当な予算をかkせて、この時代を描き切っているところも素晴らしい。
また、ディカプリオのダメ男ぶりが際立っていた。最初から最後までその設定で描き切っており、そこには、敢えて主人公の成長などはない。ダメ男と言ってしまうと単純化し過ぎなので、もっと具体的に言えば、「自分を守ろうとするあまり自己欺瞞に陥り、そこから抜け出すことのできない人間の弱さ」が描かれていると言ってよいだろう。そういう人間は特に男に多いような気もする。その自己欺瞞を止めないと、自分が求める幸せを得ることができないのに、踏み出すことが怖くて、自己欺瞞を止めることができないのだ。多くの場合は、それが自己欺瞞であることを客観視することすらできていないのかも知れない。そういう人間はひたすら自分を正当化するしかない。
野暮な予想をするならば、米国アカデミー賞では、少なくとも、作品賞、監督賞、主演男優賞、助演女優賞、脚色賞、音響賞にはノミネートされると思う。さらに、作品賞、主演男優賞、脚色賞は受賞まで行くのではないかと思う。