肉浪費Xアカウント復旧無理ぽ

ナポレオンの肉浪費Xアカウント復旧無理ぽのレビュー・感想・評価

ナポレオン(2023年製作の映画)
3.6
エンディングテロップから分かる英雄「ナポレオン」への冷徹
威風堂々とした世界を飛び回るヨーロッパの覇者像ナポレオンとは"大分違う"歴史上に照らし合わせれば歴史と国と『愛』に翻弄された雄大スペクタクルで矮小な男の興味深き個人のシン・像
かといって「ナポレオン」自身をフォローや被害者として祀り上げるのではなく、そこにあるのはリドスコの前作『最後の決闘裁判』の女視点の"諦観"

史実ではあるけど、「伝記映画」としては物議を醸すホアキンを主演に据えたからこそ強行できた"シュール&リアリズム(皮肉)"ナポレオンなのかも

同じリドリー・スコット監督で国は違えど「皇帝」を20年超ぶりに演じたホアキン・フェニックスさん主演作がこうなるとは…(『グラディエーター2』来年予定ですと!)前作『最後の決闘裁判』を念頭に入れるとこうなることも想像できたのでしょうけど、"賛否分かれる"ヨーロッパ覇権を握った『帝王』像に結びつきにくい「人」としてのナポレオンを描いた強く感じさせる映画でしたね。
かといってナポレオン"個人"の人間性や感情面の情動を強く象徴させた"ヒューマンドラマとも違う"ので、ナポレオン自身が魅力的に映りにくいからこその"賛否両論ありき"だと思います。

けれども、2020年代に移りすっかり息を潜めた"中世戦争スペクタクル"が今になってもがっつりと再現できてるのは素晴らしく、カメラ大設置&エキストラ8000人という近年のハリウッドでは類を見ない「AppleTV+」制作の本意気が見えてくる堂々たる"ザ・大作スペクタクル"らしい映像は久しぶりに拝めます。
全く「フランス革命」と交代する方で王道を歩むナポレオンについて詳しくなかったのですが、それでも知っている「ワーテルローの戦い」が一二を争う大アクションの見せ場なのに、"消化試合"や畳み掛けとして"消化不良"的に視聴者に目に映ってしまうのはどうなの??という勿体なさは感じてしまいました…
映画全体のタッチとして、"ナポレオンと視聴者"が"感情移入"するべくキャラクターとしての距離間を近づけるような描写がないので、そういった面からも没入感やテンションがノリづらいのは、興味深い描き方とは別に"悪手"の気がしますね…

その代わり、約2時間半超の大作収録時間でも"有名5大戦役"をサラッと流すだけでもいっぱいいっぱいな"早回し"感に対して、監督自身の「4時間」級の"ディレクターズカット"計画もあるらしく、ドラマ部分や"ナポレオン個人"に対して"補強"されるのが楽しみでならないですね。

ナポレオン個人としては、映画として「恐怖政治」の都合により処刑されたニ子を抱える"モテモテ未亡人"への一目惚れからの"恋と愛"で映画全体が語れるというのは意外で、でもそこにやっぱり親愛の"ラブストーリーではない"冷ややかな描き方もまた意外w
戦功を稼ぎ「皇帝」に担ぎ上げられながらも、絶えず戦役へと足を運んだ"軍人皇帝"の夫ナポレオンに対し、皇妃ジョゼフィーヌ(ヴァネッサ・カービー)は浮気だらけという(勿論ナポレオンも献身を貫くような時代性でもなく)愛の行き違いをナポレオンの活躍と対比的に描いてるのも印象的。

皇帝としての盤石、一族の繁栄の為に「子息・後継者」問題が"個人の愛とは別に"求められることで、皇帝の「離婚問題」、その後も続く後宮のような繋がりがあり、ナポレオンの運の落ち目で"二度の復権と二度の流刑"という変遷もあったなんて、"新情報"だらけでその人生の複雑さを存分に楽しみましたよw
フランス革命時のマリー・アントワネットのように単純に処されない『英雄/悪魔』なりの"畏怖と尊重"の奇遇な人生。

でもその"愛なきパンパン"が空虚に響くという妻が眺める男の所詮の"小並"人生とは本当に冷笑・皮肉に満ちた、エッジの効いた目線の"クールな映画"でしたよ😉