ナポレオンの十一のレビュー・感想・評価

歴史物ではあるが、最新のエイリアンシリーズにも通じる世界観。種としての人類の生態を神の視点で俯瞰すると、世界を動かしてきたのは、思想や理想などの理性的な力では到底なく、生殖のためのパワーゲームの結果に他ならないとする。女を支配したい男と、その欲望を逆手に男を支配する女。両者の駆け引きさえも、血を残すという遺伝子の壮大なゲームの一部でしかないという喜劇。ラストシーン、皇帝とまで言われた男の虚栄など落日の先に何も残らず、ただ子供の遊ぶ姿だけが残るという無常感よ。