十一

ジュディ 虹の彼方にの十一のレビュー・感想・評価

ジュディ 虹の彼方に(2019年製作の映画)
3.7
特殊な才能をもった1人の人間、女性、母親としての、ジョディ・ガーランド個人の物語としてみるなら、密度高く描かれ引き込まれる部分もあるが、社会派の文脈で見るなら、資本サイドへの忖度が大き過ぎて、ショービジネスの光と闇への斬り込みの鋭さが足りていない。業界の体質への批判がなされないので、子供時代のジョディに自己責任を求めているようで、芸能界に関わったことで救われた部分もあるという、この映画のラストに釈然としないものが残る。ただ、実在した人物を描いた映画であってみれば、そこに正解や整合性は必ずしも存在せず、残った違和感がそのままリアルな人生の手触りであるのかもしれない。彼女の全盛期やその後をリアルタイムで共有してきた世代であれば、少し感想は違ったのか。
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