十一

オズの十一のレビュー・感想・評価

オズ(1985年製作の映画)
5.0
再見。ジョディを観た後だと、オズでの出来事を語ったために、精神病院に送られるドロシーの姿が重なる。ファンタジーの世界はつらい現実を生き抜くための処方だとしても、もはや、それを口に出すことはみだりがましい行為に成り果てたのだ。ベトナムを経て、夢を見るアメリカの子供時代は終わった。叔父夫婦の視点から見れば、ドロシーは竜巻に巻き込まれたことのトラウマを架空の物語で必死で癒そうとしているというふうに見えるよう、客観的に作られている。それは、自己のインナーワールドの秘密を守ることはその魔力の維持に必要なことなのだという警告になっているのだが、一方、そんな警告が必要という社会は、共同幻想を語る手段を失い、人々の孤独が増したということでもある。
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