まなみ

市子のまなみのレビュー・感想・評価

市子(2023年製作の映画)
4.0
サスペンス的に面白かった!重いのは重いけどこちらに負の感情を背負わせようと作られてはいないようで意外とさらっと見れた。人の境遇を可哀想に思って落ち込む人は落ち込むかもしれない。

市子にこの人のことを知りたいと思わせる魅力がある。ちゃんとそのように描かれている。ひとつひとつ明かされる真実もありきたりではなくてドキドキしながらストーリーを追っていた気がする。最初こそ急に巻き戻って混乱したけど。

どの章にも必ずすごく市子が映えるカットがあって、その人の目に市子がどれだけ焼き付いたのか観客目線でも感じられる。涙をぽろぽろこぼすのも、雨の中で叫ぶのも、光を手で遮る姿も印象に残る。

運命は酷なんだけど、このようにしか生きられないと悟ったように見える市子は意外とあっけらかんとしてるのでは、と感じたのでさらっと受け止められたのもあるかも。最後にはもはや葛藤もないように見えるし、そこが怖いくらいに魅力的だと思った。

とはいえ全部好きなわけじゃなく、ちょっと眠くなるところもあるし、最後の市子のモノローグは泣かせにきたようでストレートすぎてあまり粋ではなかったかな。何か別の形で伝えて欲しかった。エンドロールの音声は悲しくて幸せで好き。全体の8割くらいは好き。

元が戯曲だとエンドロールで知って、その前提で思い返すと確かにすごく舞台っぽい。舞台でも見てみたいかもしれない。
まなみ

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