「好き」ってなんだろう。
どういう感情なんだろう。
どうしようもなく絶望的な物語なのに、
「好き」という言葉がたくさん出てくる。
でも、この映画に出てくる好きは、
感情というより意思表示に聞こえる。
「うちお祭の焼きそば好き」
好きを表明しないと、好きがなくなってしまう。心地よい瞬間がなくなってしまう。
だから「好き」とスタンプを押す。
でも本当に本当に大好きなものは、
簡単に「好き」と言えない。
この気持ちは好きと言うのだろうか。
安易に好きと言ったら、他の好きと一緒になってしまうから。
いい映画は簡単に人を救わない。
このまま全く救われないんじゃないかってくらい救わない。
たまに本当に救わないで終わる映画もあるんだけど、この映画には絶妙に人を掬い上げるところがあり、まんまと泣かされました。
杉咲花、若葉達也の2人をいつまでも見ていたい。
「男と女と車が1台あれば映画は作れる」
と、ゴダールは言ってたけど、男と女と良きシナリオと演出のある、素晴らしい映画でした。