感情表出は常に裏腹だ。
悲しい時に泣くことより、
悲しい時こそ平然と振る舞うことの方が、
圧倒的に多い。
しかし、映画はそれを忘れて、
しばしば分かりやすい感情表現に陥る。
分かりやすすぎる感情表現を見ると、
ぼくはちょっと冷めた気持ちになる。
そんなふうにできたら苦労はしないよ、
と思う。
アフターサンには、
ほとんどの感情が映し出されていない。
感情表出が裏腹なものだと分かっているからだ。
2人の怠惰な時間の中に込められた感情を僕らは知っている。
空港での彼女の笑顔が忘れられない。
笑顔の意味を十分に分かっているから。