三樹夫

ミラーズ・クロッシングの三樹夫のレビュー・感想・評価

ミラーズ・クロッシング(1990年製作の映画)
4.3
二つのマフィアの抗争に巻き込まれた主人公が、状況を上手いこと利用した上に運も味方してなんとか自身の借金を返済する映画、この映画を紹介するならこんなところか。
予算がつきエンタメ作品を作れと言われたコーエン兄弟はこの映画の脚本が中々書けなかった。その混迷具合が反映されたのか、この映画も混迷をきたしており、主人公でさえろくでもない小悪党で誰に感情移入して観ればいいのか難しい。ただ、すごく面白い変な映画が出来上がった。次作バートン・フィンクは、この映画の脚本を書くのに苦労したことが基になっている。
この映画のジャンル分けは難しい。ハードボイルドやピカレスクにしては主人公は小悪党だ。一見主人公は二枚目ポジションなんだけど、結構クズだし、ゲロ吐くシーンがそれを表しているが結構小物感あるしで、主人公に容易に感情移入できないようになっている。系譜としてはブラッド・シンプルのような、登場人物それぞれの行動が互いに関連影響し合って話が展開していく、構成の妙で見せる群像劇だけど、この映画はファーゴ的な、バカがいっぱい出てきてバカやってるのをゲラゲラ笑うブラックコメディだろう。キャスパーのデブバカ息子なんかがブラックコメディというのが分かりやすいキャラだと思う。個人的にレオが突然異様な俊敏さをみせる肉体派ボスに早変わりするシーンが笑った。
三樹夫

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