さすらいの雑魚

青春ジャック止められるか、俺たちを2のさすらいの雑魚のレビュー・感想・評価

3.9
この映画は 葬送のフリーレン だ♪
雑魚の個人的な感想です。でも、大きく外してないと思う。

端的に言うとフリーレンが若松監督(!)で、旧パーティの仲間が、黄金期若松プロの面々。シュタルクが少し鈍臭い井上少年で、ツッコミ担当の金本嬢がフェルン。そして我らが木全代表は、イケメン破戒僧ザイン♪……で、女神様は前作のヒロイン吉積めぐみ。

若松監督がフリーレンと勇者ヒンメルを兼任な風味なので、ちょっと孤影が深すぎて……惚れそう。
劇中の時間軸では、
名古屋では木全さんとのオトボケ漫才があり、
東京には突撃弟子入りの井上少年との師弟コントがあるから救われてる。
でも、その前はどうだったのだろう?
深夜の若松プロから、遺影と想い出でいっぱいの事務所から、パレスチナの足立氏に仲間や自分の近況を伝える監督の丸まった背中が、若松孝二の剥き出しの寂寥が、痛々しい。
井上少年が弟子入りするまでは、独りだったかと思うと、これは雑魚なら逃げ出す孤独。

すぐ横といって良いデスクで渾身の脚本を書ききって爆睡してる井上少年の清々しい寝姿に背を向けた監督は、遥かな中東で今も闘う戦友に゙向けて
「貧乏なのはオレだけだ」
と、目一杯の自虐を飛ばす。
撮った映画が大手から買ってもらえなかったりとあまりの不遇に、さすがのパワフルな若松孝二も、何をどうすれば良いのか困惑し、もしかしたら「助けてくれないか」と、言いたかったのではなかろうか?かつていつも隣に居た、今は、別の闘争に生きる畏友に縋りたかっのかも。
そして、それは意地でも言えなかった。
そんな残された者の孤独と痩我慢が、あまりにハードボイルド過ぎて、格好良くて決まり過ぎで、息苦しくなりそうな瞬間に、むくりとご起床の井上少年。一気に師弟コントの涼風が吹き込む感じ。
良い仕事だぞ井上少年。カッコ良すぎるってのは、キャラとしてはともかく、人間としては問題が多すぎる。

70年代の若松プロの伝説的な黄金期。それが終わった後の時代。疾風怒濤が過ぎた凪の時代。若松監督の孤影と、孤影に添うように在るシネマスコーレの木全支配人の微笑みが、凪の時代に彷徨う若者たちを、優しく包みこむ……だけでなく、厳しくハードなツッコミが全方位から井上青少年に入りまくる😅
そうです、本作は笑える映画です✨
痛々しくも瑞々しい、かつての自分を見るような、そんな映画でもあります。
大きな時代が終って、次の幕が上がっているような、まだあがってないのかな?的な、昨今の時代の空気を捉えた素敵な映画です。

モラトリアムの渦中の君にも、かつてモラトリアムってたご同輩にも、雑魚は本作をオススメしますですよ♫
シネマスコーレで先行公開での鑑賞なんで、これから正式公開と思うよ。

特記事項に東出昌大。
良い感じに旨味が増してるって言うか、女相撲の映画とか、土手を走ってる映画見て、キャストに名前があったらその映画を観にゆく俳優さんにリストアップしている方ですが、今回も良いっすねぇ!
茫洋と韜晦の間に知性と情熱を添えた、静かな熱演ではないかと、勝手に喜んでおるのですね〜