円柱野郎

フェラーリの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

フェラーリ(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

1957年、エンツォ・フェラーリがフェラーリ社を設立してから10年が経った頃、会社は倒産の危機を迎えていた。

時代的には「フォードvsフェラーリ」(2019)で描かれた頃よりちょっと前かな。
フェラーリの創設者、エンツォ・フェラーリの伝記映画ですね。
フェラーリは劇中でもセリフとして出てくる通り「レースをする(資金を稼ぐ)ために車を売る会社」なわけだけど、鑑賞前はエンツォのレースへの情熱を描いた映画なのかな?くらいの予想でした。
でも観てみると、レースのことより(もちろんレースへの執着も描かれるけど)「倒産しそうな会社をどうしよう」とか、「冷え切った(共同経営者の)妻との関係が大変だ」とか、「愛人とその子を愛しているけど子供の認知は出来ないよ」とか、そういう"人間"エンツォの悩みを描いた映画だったように思います。
なのでなんとなく作風も重いというか暗いというか、あんまりすっきりさっぱりした話ではなかったかな。
妻と愛人との関係や扱いとか、安全装置のない車のレースとか、そういう描写は(いいか悪いかは別にして)「時代だなー」と感じるところも多かったね。
公道レース"ミッレミリア"の事も知らなかったけど、作中でも描かれた大事故で以降は開催されなかったということも今回初めて知った次第。

エンツォを演じる役者の見た目は「フォードvsフェラーリ」のレモ・ジローネの方がイメージに合ってたけれど、本作で演じたアダム・ドライバーも上手い役者なので、顔などの見た目の違いを演技力でカバーしていたとは思うね。
劇中ではもちろん実在のドライバーがたくさん出てくるけど、さすがに昔のドライバー過ぎてちらっと名前の出てきたファンジオとかモス以外は全然知らない人ばかり。
なのでポルターゴの事故死にはちょっとびっくりしたかも。
円柱野郎

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