52ヘルツのクジラたちのくららのネタバレレビュー・内容・結末

杉咲花がすごいのは知ってたけど、志尊淳が微笑みだけで喜怒哀楽を表現してて静かに凄まじかった。
52ヘルツでしか鳴けない人の辛さを知ってるアンさんだから、出会ったばかりのキコに優しく寄り添ったんだろうし、キコの母親にもはっきり物申してくれて強い人だと思ってたから、まさか亡くなるなんてと驚いてしまい、本当はギリギリの所でずっと必死に頑張っていたんだなと苦しくなった。
母親がどれだけ愛してくれてると分かってても、地方の地元に帰ればどんな人生が待ち受けているか想像ついてしまうし、母親の何気ない言葉も引き金になってて、それを「男でも女でも生きていればそれだけで良かったのに」と後悔する姿も悲しい。
最期に書いた遺書を専務に燃やされて、紙が無くなり灰になる様子がアンさんが本当にこの世からいなくなったことを実感させて、生きてて欲しかったと思う一方で「もう苦しまなくてよくなった」と思ってしまう自分もいて、自分自身にもやっとしてる。

52ヘルツの人同士だから分かり合えると言い切るのではなく、美晴や山中のように寄り添ってくれる人の存在が温かくて良かった。

ヤングケアラーが子どもなら通報されれば保護されるかもしれないけど、そのまま成人した人たちは誰が助けてくれるんだろうと考えた。