ハル

52ヘルツのクジラたちのハルのレビュー・感想・評価

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
4.1
原作が“本屋大賞受賞”との触れ込みなので、本好きの自分としてはとても気になっていた一作。

本当に本当にいろんなテーマが深堀りされていて、ネグレクト、DV、ジェンダー、貧困に介護問題。
現代の抱える問題をひとまとめにして、構築された光と闇を併せ持つ作品。
タイトルから想像するよりも遥かにディープで底なしな世界観…心にズシンとのしかかった。

これらの問題に絡むのが主人公である“キナコ”
本作は兎にも角にも圧巻の杉咲花の芝居力。
昨年末に公開された『市子』もそうだが、主演女優一人で成立させてしまう存在感に今回もただただ見惚れた。
彼女がスクリーンで演じてくれればそれで良い、そんな大女優の佇まいが脳裏から離れない。
称賛以外の感想はなく、彼女を通して作品そのものを感じられる。

『生きづらさ』が根底に佇み、環境やヒトの性質も絡む話。
全てを受け止めていたら持たない時代になったんだな、と改めて思う。
肯定すること否定することも必要なく、情報を取捨選択していかないと潰れちゃうね。
重く、シリアスな作風なので受けるダメージは相当なもの…
“今”という時代、『多様性』をダイレクトに捉えた物語でした。
ハル

ハル