みとも

NANAのみとものレビュー・感想・評価

NANA(2005年製作の映画)
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 保守的な異性愛しか存在しない窮屈さ。少女漫画やその映画化の男性キャラ(本当はナイーブなのに何故か女性に対してはオラオラ)についてもう少し考えられるかも。主人公の奈々=宮崎あおいは恋人の男に対しても、自分たちの外側に辛うじて存在する社会であるバイト先の大人(なぜこんな記号的なのか?お局かセクハラ上司)に対しても受動的。他方のナナ=中島美嘉もバンド活動で「家で味噌汁作って待ってる」女性のあり方を拒否しながらも(こんな古かったのか2005年!?)、遂には主体性を持ち得ないように思える。奈々もナナも自分たちの置かれた構造そのものを疑わない。
 鍵は奈々とナナの関係性を描いていく中にあると思うのだが(と書いて奈々はナナに対してさえ受動的だったことに気づいた)、エンパワメントされないことが前提の中で「好きなミュージシャンに生で会えた/会わせてあげた」ぐらいのことに絶対的な楽しさや幸福を見出すしかないのか。貧しい。
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