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容疑者XのBaadのレビュー・感想・評価

容疑者X(2023年製作の映画)
3.9
東野圭吾の『容疑者Xの献身』を原作にしたインド制作のNetflix映画。大スターのカリーナ・カプール・カーンをヒロインに、容疑者Xと刑事は最近売れっ子の中堅俳優を配役。監督は『女神は二度微笑む』のスジョイ・ゴーシュ。

脚本も役者もロケーションもすばらしかったです。

なのに大傑作と思えないのは原作が謎解きありきの本格推理だからだろうなあ。その範囲では素晴らしい脚色をしていたと思う。

原作のプロットの制約の中では最大限に良い仕事をしたという感じ。
あと、ボリウッド映画の倫理的制約は良い方向に働いていて物語をわかりやすくしていたと思います。

インドでは原作からのプロット盗用疑惑のある傑作映画『Drishyam/ビジョン』と<プロットが似ていて二番煎じ>みたいなことをかなり言われていて、こちらが原作からの公式な脚色なのに気の毒だなあ、と思いました。

 Drishyam、私は盗用とは思っていませんでしたが、インド人だとあまり思い付かないようなアイデアらしく、こういうのの線引きはむずかしですね。

配信が木曜日から、と変則的なのは、ヒロイン役のカリーナ・カプール・カーンの誕生日に初日を合わせたためのようです。

この映画のリメイクの話は随分と前から出ていて、多分監督が韓国版をみたのがきっかけだったと記憶しているのですが、結末が日本版とも韓国版とも大きく異なっている上に企画がなかなか実現しなかったのは、この映画のトリックに関わっているいくつかのことに関する忌避感が日本や韓国より強い、ということだと思います。

あと、一番問題になるだろうことを避けて似たトリックを使った『ビジョン』がさきにヒットしたことも災いしたのかもですし・・・

東野圭吾原作のインド映画としては『ブルータスの心臓』をもとにした『愛しのモニカ』の方が少し好きかな?

『容疑者Xの献身』に関しては、インド版>韓国版=原作の順で見やすいと思いましたが、やはりインド版以外のラストはモラル的に問題あるので、一般向けの映画としては今現在は世界市場を相手にする以上使えないだろうとも思いました。

非公式映画化の”Drishyam"も加えると、
”Drisham(マラヤラム語オリジナル)”>容疑者X>ビジョン(”Drisham"ヒンディー語リメイク)>韓国版という感じかな。

日本版は推理ものという保留をつけた上でも捜査関係者の発言がいい大人の割に身贔屓が過ぎてモラルが低すぎるので評価の対象外です。(以下ネタバレ)

ヒロインの対応はこの映画が一番自然で良かったと思います。
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