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カラフルな魔女~角野栄子の物語が生まれる暮らし~のnnのレビュー・感想・評価

3.9
オンライン試写会にて鑑賞。
「魔女の宅急便」の作者である角野栄子さん。
何から何まで素敵。
ワタクシ、特に「推し」とかいないし、誰かのファッション真似たいとか思った事ほとんどないまま生きてきた気がする。
が、この映画を見ながら、角野さんの全てを真似たいとマジで思った。
素敵なヘアスタイル、眼鏡、ワンピース、靴下、ライフスタイル。
元気で長生きされているところまでも。
一人娘のりおさんとの関係性も羨ましい。
鎌倉在住で、日課のお散歩が、これまた絵になる街並み、路地、そして海。
波の音を「地球の音ね」と表現される。

小学校での講演会。
子供達に作者の紹介をした時の子供達の「ひゃ〜っ」という歓声。
わかるっ。
ワタクシも小学生だった頃、本屋さんに行って大好きな椋鳩十先生の本を買ってもらってたらレジのおばちゃんが「ほら、あそこにいらっしゃるのが椋鳩十先生よ。
サインしてもらったら?」
今も昔もチョー恥ずかしがりなワタクシ、本棚の陰に隠れながら憧れの椋鳩十先生を見つめたのを思い出した。

と、前半は、そういう感じの、おしゃれなライフスタイルや活動を追いかける感じ。
後半は、角野栄子先生が作家デビューするきっかけになったブラジルの少年との出会いの話。
結婚してブラジルに渡った先で、ルイジンニョ少年と知り合い、彼からブラジル語を教えてもらったり、サンバ踊ったり、ルイジンニョのママの料理を食べたり。
彼のおかげで作家になったと思うと言う角野栄子先生と、ルイジンニョ氏が60年ぶりの再会を果たす。
あの頃の少年はすっかりおじいさんになっていて、月日の経った事を噛みしめる二人。
彼は手術を三回したんだよ、とおっしゃってる事もあり、痩せておられ、写真のルイジンニョ少年の面影はない。
それにひきかえ、角野栄子先生の若々しさったら!と、下世話な事を思ってしまう。
まさに「カラフルな魔女」たる所以だわと。
そして、昨年オープンした角野栄子文学館「魔法の文学館」にお連れして、そこでルイジンニョ氏が「ハグしていいかい」からの角野栄子先生の涙。
すごくいいシーンだった。
さすが、異国からの年上の女性を平気で案内して回るような、社交的でブラジル的で文学的な少年が垣間見える、本当に素敵な言葉が彼の口からポロポロ出てきた時、痩せてすっかり年老いた老人の顔がどんどん少年の顔に見えてきたことが自分でも驚きだった。

そしてエンディングにはまた彼女のカラフルでパワフルな生活。
モリモリ食べて、一日中書いて、散歩して・・・
彼女が言う。
「その人の喜びを見つけること。見つけたら諦めないで食いついて行く。それが魔法」
今年還暦を迎えるワタクシ、諦めないで食いついていこうとしみじみと感動したし決意したし、反省もしておしゃれもしようと思った。
明日美容院行こう。
nn

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