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母の聖戦/市民のnnのネタバレレビュー・内容・結末

母の聖戦/市民(2021年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

オンライン試写会にて鑑賞。
またも自分の無知さ加減を痛感しながら観る。
メキシコと聞いて、思いつくのはトルティーヤ?ワカモーレ?コロナビール?・・・って、食べ物くらいしかない・・・
かろうじて場所はわかる。アメリカの下でしょ(・・・下って言うな!)

母に口紅をさしてあげた後、デートに出かけた娘。
その母の車の前に、チンピラ風の二人組が寄ってきて、娘を誘拐したと、身代金の要求をする。
別居中の夫とともに、かき集めたお金を渡すも娘は返されない。
警察も軍隊も相手にしてくれない。
至る所に貼られた行方不明者を探すビラが、この国の治安状態を表している。
母は、自力で捜索を始め、入手した情報で軍と交渉、娘救出の作戦に同行する。
いやまあこれがハードというかなんというか。
銃撃戦の中、建物に入って娘を探すのもかなりの強さだが、この誘拐に夫の友人が絡んでおり、その友人を自ら尋問せよと棒を与えられる。
彼女は覆面をかぶっているのだが、それを脱ぎ捨て、その友人を問い詰め、殴り、罵る。
そして、最後、軍の中尉だったかが「君のためだ」と言い、この夫の友人を射殺する。
そりゃそうだ、顔がバレてしまっている・・・

ワタクシは、なんの前情報も入れず観ているから、勝手に先を予測する。
この母の戦いが最後は勝利することを信じて。
だから、肋骨1本から娘さんのDNAが検出されました、と言われた時も、トリックを考えてたからね。
そして、いきなりのエンディング。
へっ?
動揺していると、画面に出た「シエロ(←母)のモデルになった女性に捧ぐ」を見て初めて「これは実話をもとにした映画だったのかっ!」
この実話を元にした、とかドキュメンタリーの残酷さってのはハンパない。
だって実話だから。リアルだから。
感情の逃げ場がない。
フィクションなら、「後味の悪い映画だったなあ」で済むが、ずっと後を引く。
そして、この「後を引く」ことを目的にこういう映画は作られるのだろう。
誘拐を、拉致を、世界に知らしめて、戦ってくれる人たちを、政治的に倫理的に文化的に、色々な面から募るのだ。
そして、なんの力もない、世界の末端部分にいるワタクシの心ですら「何かできる事はないのか」と考えさせられる。
そして、何もできないから、ただただ1日も早くメキシコの誘拐ビジネスなんていうどす黒い組織の壊滅と、誘拐された子供らの無事を祈るだけだ。
nn

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