コマミー

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章のコマミーのレビュー・感想・評価

3.8
【未知との遭遇…そして一つの日常との別れ】




私は「デデデデ」は読んだ事はないが、"浅野いにお"先生の短編集や「おやすみプンプン」なんかが好きで本作も原作を読んでないとは言え、浅野いにお先生の世界観が映画になって動き出すとなると楽しみで仕方がなかった。

まだ見ていない方がいるので、ネタバレはくれぐれも控えて話をする。

結論から言うと、まだ"前章"とは言えなかなか面白かった。浅野先生の作品の好きな所として、主要人物のみならずその周りにいる友達や身内の人、そして"周りの他のモブの人物描写も漏らしてない"と言う事だが、この映画でもそれがしっかりと受け継がれていてとても良かった。
それに浅野先生のキャラクターや背景の描き方は比較的"ゆるい"。だが、所々描かれる"世の中のブラックな部分"も随所にあり、中には辛い描写もあったりもする。今回の「デデデデ」にも、主要人物つまり"門出"と"「おんたん」こと中川凰蘭"の"小学生時代を描く過去のシーン"やSFと青春作品の間で描く、様々な人の"善悪の見分け方"や陰謀などの"社会的な内面をつく闇"など、この前章だけでも我々の現実世界と通じる深い部分も描いていて見応えがある。
門出の小学生時代のことについてだが、これは見てて辛かった。この「デデデデ」は、"命"を通して、なんだか"一つの日常の終わり"を描いているようで衝撃的である。どうゆう事か分からないかもしれないが、詳しくは、本編を見てほしい。

主演声優のYOASOBIのボーカル「ikura」こと"幾多りら"さんや"あの"さんの"演じ分け"が痺れるほど凄かった。それは、門出とおんたんの高校時代と小学生時代。これは全くの"正反対"で、それに準ずる演じ方をしていて素直に凄かった。あのさんはすでに役者としても凄い才能を持っているが、幾多さんも役者として充分に才能あるのではと感じた。

映像化としてはまさに最高と言わざるを得ないが、まだこの前章だけでは謎が残る描写が多いし、説明不足な部分も多いなと感じた。
これが"後章"で一気に解ければ良いのだが、この前章だけでも社会的な描き方もフィクションとしての描き方もしっかりしていて、とても面白かった。

是非、予備知識なしで見ることをオススメする。


そして、TARAKOさん、心よりご冥福をお祈りいたします
コマミー

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