ある事件を機に声を失った蒼は、ある日目の不自由な音大生の美夏の自殺を止めた。それ以来美夏を気にかけるようになり、指で手を叩いたり鈴を鳴らしたりして会話をして距離を縮める。しかし美夏は蒼を同じピアノ科の学生と勘違いしていた。本当のことを言えない蒼は、非常勤講師の北村に美夏の前で代わりに演奏することを頼む。
さわやかな草木に囲まれた大学の中にあるひっそりとした講堂で若い男女が密かに会う…何とも心地よい雰囲気で、美夏の話す声以外は鈴の音や指コンコンする音、ピアノの音で全体的に静かでウトウト…こっちが恥ずかしくなる系のあるあるが詰め込まれつつ穏やかに2人の行く先を見守る前半。ところが後半まさかのバイオレンスな展開になり、せっかくの世界観が崩れて急に冷めてしまった。無駄に痛々しい。視覚と聴力をうまく活かした結末だったのかもしれないけど、入り込め切れなくて残念。期待してた切なさはそっちじゃなかったというのが正直な感想。山田くんと美波ちゃんが他の作品では見られないような表情だったのは新鮮だった。
